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書評:続・下流老人by 藤田 孝典~老後に生活が困窮しないためには非情になることが重要

投稿日:2017年1月19日 更新日:

自分は基本的には、数十年後のことを考えない性分です。なぜなら、そんな先のことは誰にも予測ができないので、深く考えても意味がないからです。なので、個人的には、年金問題や老後のことはあまり興味はありません。それなのに、なぜこの本を手に取ったかというと、どういう人生を辿ると老後の生活がヤバくなるのか、そして、そうならないために意識することは何か、ということには少なからず興味があったからです。という訳で、この本を読んで、自分が思った下流老人にならないための防止策を今日は記事にします。

下流老人に陥る二つのパターン

この本では実際に、「下流老人」に陥ってしまった人たちに取材し、生活実態を記載しています。そこで、そのパターンなのですが、①自営業者や主婦など厚生年金に未加入で引退後の年金収入が少ない場合②親の介護費用やパラサイトする子供の生活費、未だ残っている住宅ローンの返済などで支出が多い場合、に分けられる。つまり大別すれば収入、支出の問題に要約されます。とすると、解決策としては、収入を増やすか、支出を減らすか、という身もふたもない話になります。それができりゃー苦労しないよっという訳なのですが、本では当面の解決策として生活保護の受給を検討すべしと提案しています。自分もこの意見に基本的に賛成なのですが、ちょっとニュアンスが違います。より具体的に言うと、もっと自分のことだけを考えて非情に行動すべきなのです。

追い詰められて死ぬよりも、非情に徹して自分だけ守る方がはるかに良い

病気になり、働くこともできずに生活が困窮しているのならば、市役所に出向いて嫌な顔をされようとも、食い下がり、生活保護の受給を認めさせるべきです。不正受給でない以上、憲法で認められた権利なのだから、同等としていればいいのです。少なくとも、無理をして仕事を続けて病気の治療も受けずに、症状を悪化させて死ぬよりははるかに良いはず。また、親の介護のために仕事を辞めて、その果てに老々殺人をするまで追い詰められるのなら、その前に、親の介護を放棄するべき。親には常日頃から「自分には介護をする余裕はない」、「介護が必要になったら、自分の金でなんとかしてくれ」と言い、介護をする意思がないことを表明し、親の覚悟を促しておくべき。そんなのは、あんまりにも残酷だ、人の心はないのかという批判はあるでしょうが、そういう人は介護のことを現実感を持って、真剣に考えていない人たちです。自分は、認知症を患い、自分で自分の用の世話もできなくなった老親を仕事を辞めて24時間、同じ屋根の下で数年間介護をする自信は全くありません。というか、できない。そこまで、自分を犠牲にして尽くすことはたとえ親に対してでもできない。それに、自分が親なら、老い先短い自分のことよりも、子供の幸せを願う。子供の生活を破綻させてまで、自分の介護を子供にしてほしいと願う親は少ないのではないでしょうか。

生活を守るためにプライドを捨てて、制度や他人に頼ることが必要

この本に出てくる生活に困窮している人たちは、プライドを持ち、自分ひとりで全てを背負いなんとかしようとしています。結果、自分はもちろんのこと守ろうとした人々も困窮状態に陥ってしまっています。もちろん、人間である以上、一定のプライドを持ち自助努力をすることは重要です。ですが、老後になり、生活が困窮するほど追い詰められたなら、プライドを捨てて、みっともなくとも、自分の生活を守ることだけに注力し、様々な制度や人に頼ることが必要です。

とはいえ本来は誰もが老後を安心して過ごせるセーフティーネットを作るべき

今までの非情に徹しろというのは、もちろん本で記された解決策ではなく、あくまで自分が考えた内容です。本では、誰もが老後に困窮に陥る可能性があるのだから、国民全員の税負担は上げて、生きていく上で欠かさないインフラや社会福祉を誰もが受けれるよう予算を拡充すべきと主張しています。それは、その通りなんですが、日本が北欧型の高負担高福祉の国になるまでには途方もない時間がかかると思うのです。少なくとも、自己責任という言葉があらゆる場面で主張され、ちょっとした間違いに鬼の首を取ったかのごときに騒ぎ立てる現状では、国民の合意形成がなされるのは当面先になるでしょう。

本日の社会を生き抜く知恵

生活が困窮するほど追い詰められたら、プライドを捨てて、みっともなく足掻き、他人や制度に頼り、生き抜こう。少なくとも、死ぬよりははるかにマシ。本当は、そんな殺伐とならずにセーフティーネットに頼って生きていける社会が理想だが、それは当分先にならないと実現しない。

<参照:続・下流老人 一億総疲弊社会の到来 (朝日新書) by 藤田 孝典>

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