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住宅を購入する際の諸費用①~節約できる費用、節約できない費用~仲介手数料編

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住宅を購入する際には、多くの諸費用がかかります。ググると様々な情報が出てきますが、実際のところどうなのか、不動産関連の実務に携わっている観点から、語っていきたいと思います。ちなみに、自分の仕事は住宅ローン関連の仕事をしているので、普通の人よりは若干不動産についての知識があります。そこで、本日は住宅を購入する際にかかる諸費用にはどのような費用があるのか、そして節約できる費用、節約できない費用を詳しく説明していきます。ところで、一言に住宅購入といっても、様々なケースがあります。今回は、家を一から建てる注文住宅のケースではなく、既に完成している物件、中古マンション、新築マンション、中古戸建て、新築戸建て(新築建売)を購入する際の仲介手数料について話していきます。

諸費用で一番大きいのは仲介手数料

それでは諸費用を見ていきましょう。まず、一番大きな費用としては不動産仲介業者に支払う仲介手数料があります。仲介手数料は法律、告示で上限が決まっており、売買金額の3%+6万円+消費税がかかります。(正確には売買金額が400万を超えるか超えないかで手数料が異なりますが、ほとんどのケースで400万円を超えるかと思いますので、400万を超えるものとして述べていきます。)ですので、2,000万の不動産を仲介業者を通して購入した場合は、仲介手数料が716,000円かかります。では、この仲介手数料ですが、節約することは可能でしょうか。売主から直接購入すれば仲介手数料はかからないのですが、売主が個人の場合は、直接購入するのはかなり難しいです。何故かという理由を説明する前に、簡単に不動産の売買の仕組みを解説します。これを理解していないとなかなかイメージがわかないからです。

個人の売主から直接購入するのは現実的には厳しい

例えば、Aさんが自分の家を売ろうと思った際に、まず自分の家の価格を決定して、売りに出しているということを周りに告知しなければなりません。個人でこの業務を行うのは荷が重いため、その役割を担っているのが、仲介業者です。仲介業者は周りの相場を調べて適正価格を決定し、レインズと呼ばれる不動産会社であれば誰もが見れるネットワークシステムに登録し、買い主を探すことになります。売主に依頼された不動産業者が自分で買い主を見つけることができれば、この業者は売主と買主のそれぞれから仲介手数料を貰うことができます。(つまり売買金額の6%+12万円)また、他の不動産業者がレインズの情報をもとに買主を見つけてきた場合は、売主に売却を依頼された業者は売主から仲介手数料をもらい、買主を見つけてきた不動産業者は買主から仲介手数料をもらうことになります。ここで、先ほどの話に戻ります。仲介業者を通さず個人の売主に連絡すること自体はさほど難しくありません。売物件の謄本を取得すれば簡単に売主の名前と住所を取得でき、謄本は住所(正確には住所と異なる地番だがわかりやすく住所とする。)さえわかれば誰でも取得できるからです。問題はその後です。いきなり見ず知らずの他人が直接物件を買いたいと言ってきて、はたして売主はまともに取り合うでしょうか。自分に置き換えてみて考えてみればイメージがわくかと思いますが、十中八九怪しまれるでしょう。仮に、仲介手数料がかからないことをメリットと感じて売主の合意を得られたとします。素人である個人同士が売買契約書や重要事項説明書などを作成し、登記関係の手続きも全て行わなければなりません。さらにハードルはあります。現金で購入するのなら問題になりませんが、ローンを組んで購入する場合は、銀行にローンの申し込みをして融資の承認を得なければなりません。ですが、個人間売買の場合は、取引の不透明さを嫌い銀行で融資の承認を得るのはかなり難しくなります。つまり、個人の売主から直接購入することが現実的に可能なのは、現金購入の場合か、または不動産業界の関係者で知識がかなりある人に限られます。

売主が業者の場合で、直接購入する場合も一長一短あり、必ずしもお得になるとは限らない

では、売主が個人ではなく不動産業者の場合はどうでしょうか。この場合は、先程の懸念点がほぼ払拭されて、かつ仲介手数料もかからず、お得なように思えます。ですが、ことはそう単純ではありません。不動産業者が直接売主になる場合として考えられるのは、その業者が建てた新築戸建て、新築マンションを販売するケースあるいは中古マンションや戸建てなどを安く仕入れてリフォーム等を施して再度売りに出すケースなどが大半です。日本では新築が根強い人気ですが、新築物件は一部都心を除き購入してすぐ資産価値が下がるケースが多いです。ですので、売主の業者から直接新築物件を購入して、仲介手数料を抑えたつもりが、その金額以上の損をしていたなんてことにもなりかねません。では、最後に中古物件を不動産業者から直接購入する場合はどうでしょうか。先程ちょっと述べたように、中古物件を不動産業者が購入するのは基本的に安く仕入れて高く売るという商売の観点から行われているので、経費や利益が上乗せされて価格が決定されます。ですので、その価格が相場と同程度であれば良いのですが、相場より若干高いケースも考えられます。不動産の価格の相場はあってないようなものなので、この見極めはかなり難しいでしょう。さらに、業者が売主になる場合は、個人の場合と異なり、建物部分について消費税がかかります。結局のところ、中古物件を売主業者から、直接購入することによるメリットは費用という観点からはあまりありません。

本日の社会を生き抜く知恵

不動産売買において仲介手数料はもっとも大きな諸費用になる。売主から直接購入することにより仲介手数料がかからないようにすることは可能だが、結局全体の購入金額は高くなってしまうケースが多い。不動産購入の際には、一部の費用にとらわれず全体の価格を考えて、決定しよう。

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