前回、アカントアメーバ角膜炎にかかって、紆余曲折を経て、都内の眼科専門病院に行ったところまで書きました。今回は原因特定、手術、完治までを書いていきます。
左目の網膜剥離は手術の必要はないことが判明。ただ、右目がボヤケている原因は特定できず・・・
地域の中核病院から都内の眼科専門病院を紹介され、まだ頭が整理できない状態で紹介先の病院に行きました。受付に「すぐに手術が必要と言われたのですが!」と血相を変えて駆け込むも、受付の女性はいたって冷静で事務的に応答するのみ。結局、この都内の病院でも医師の診察まで数時間待つことになりました。待ちに待たされようやく医師との面会を果たすと、医師から言い渡せれた言葉は、ある意味衝撃的で「左目の網膜剥離は数年前のもので、症状はもう固定化されているから、手術の必要はないね。進行する可能性はほとんどないよ。まあ、念のため、3ヶ月おきくらいに定期的に来てもらう必要はあるけど。」とのこと…当然、前回の女医に言われたことが気になり確認したのですが…「でも先生!前の病院では緊急手術が必要だと言われたのですが!」
「そうなの?まあでも右目はこれ以上進化する可能性は低いよ。若いとこういう風に自然に症状が止まるケースもあるんだよ。運がよかったねー」とあっさりした感じ。とりあえず左目の網膜剥離は大丈夫と言われほっとしたので、気になっていた原因を確認してみました。「先生、自分はスポーツもやりませんし、正直今日言われるまで全く症状はなかったのですが、網膜剥離の原因は何なのでしょうか?」「うーん、強度近視の人は網膜剥離になりやすいからねー。あなたも強度近視だから多分それが原因だと思うけどねー」とのこと。視力0.1以下の強度近視の人は是非とも一度自分の網膜をチェックした方がいいですよ。本当に言われるまで、全く自覚症状なかったですから・・・それにしても、前の病院の女医さんよ・・失明と聞いてビビって寿命が縮まった分を返してくれよ・・・
診察を受けてから数日後にようやくアカントアメーバ角膜炎だと判明
左目の網膜剥離はとりあえず問題がないことがわかりましたが、状況は振り出しに戻ったに過ぎません。ボヤケている右目の原因は全く不明なのですから・・・しかも、医者から「うーん網膜剥離の左目よりもボヤケている右目の方が気がかりだね。原因もすぐにはわからないな。とりあえず病名を特定するために、一つずつ薬を試して絞らないとな~」との頼りない言葉・・・眼科専門病院でもわからないのか・・・とホッとした気持ちもすぐに冷めて、落ち込みました。医者からは「ヘルペスじゃないかな~薬を出すから、また数日後に来て」と言われ、とりあえずその日はヘルペスに対処する薬をもらい、帰宅しました。数日間は仕事をしていたこともあり、幸い深く考える時間もなくあっという間に過ぎて行きましたが、症状は一向に改善せず・・・医者の元に行き、全く改善していないことを伝えると、「うーん・・・ヘルペスでもないのか~じゃー何なのかな~」と頭を傾げて困った様子・・・おい!先生!しっかりしてくれよ!と心の中で叫びましたよ。しばらく、その医者は悩み、他の医者に相談すると、ベテランっぽい医者が、「これはあれだよ、どう見てもアメーバでしょ。」と、そんなこともわからないのかと言った調子で症状を断定。悩んでた医者が「えっ!これアメーバなんですか!でも、患者さんは全然痛みがないようですけど・・・」となおも納得していない様子でしたが、ベテラン医者が「まれに、痛みが全くない場合もあるんだよ」とこれまた力強く断定。おお!ついに原因が特定されたのか!と思わず小躍りしたくなるほど嬉しくなりました。しかし、ふと冷静になると、全く痛みがなくてよかったけど、通常は強い痛みがでるのかと・・・背筋に寒いものを感じました。ほっとしたのもつかの間、ベテラン医師からは、「アメーバには根本的な治療がないんだ。もしかしたら、ずっとこのままかもしれない。辛抱強くやっていくしかない」と残酷な一言が・・・
原因は特定されたが、根本的な治療方法はないと言われ、とりあえず角膜を削る手術を受けることに・・
ベテラン医師から言われたことをまとめると、「アメーバは耐性が強いから、薬を投与しても簡単には死滅しない」「なので物理的に数を減らすために、感染している角膜を削って一気に数を減らす治療が有効」「後は薬で辛抱強く数を減らしていくしかないけど、症状が改善しない場合も高いとのこと。」これを言われた時は、本当落ち込みました・・このまま一生ボヤケた目を抱えて生きていくなんて・・・と人生の中で正直一番と言っていいほど絶望しました。その後、やはり右目にアメーバがいることが検査で判明し、その日の内に角膜を削る手術を受けることになりました。幸い手術は麻酔がかかっているため、全く痛みはありませんでした。ただ目を削るので心理的に何とも言えない気持ち悪さはありました。手術は無事に終わり、アメーバに効く目薬を処方され、その日は帰ることになりました。診察が終わる際に、ベテラン医師から「感染経路を特定したいから、コンタクトレンズのケースを今度の診察の際に持ってきて」と言われました。「アカントアメーバ角膜炎はコンタクトレンズの洗浄をいい加減にやっていると、まれに水道水などからアメーバがケースなどに付着し、増殖して感染することになる」とのこと・・・自分は二週間の使い捨てのソフトコンタクトレンズを使用していたのですが、三週間使ったり、洗浄もこすり洗いなどせずに洗浄水を付けて、レンズに放置するのみでした。たまに洗浄水が無くなった時は、水道水を代わりに使っていたことも数回ありました・・・後の祭りですが、本当、コンタクトレンズは丁寧に清潔に扱う必要があることを身をもって体感しました・・・
角膜を削る手術の翌日、症状は劇的に改善!
手術の翌日に恐る恐る眼帯を取って、メガネをかけると、「あ!ボヤケが治っている!」と体感できるほど症状は改善しました。その後に、処方された目薬を使用しながら、日に日に、症状は改善していき、術後の経過のために、数日後に医者に行った時には、ほとんどボヤケは無くなっていました。検査結果を見た医師も「かなり数が減ってきているね。」と心強い一言。そして、その後に感染経路を伝えられたのですが、やはりコンタクトレンズのケースからとのこと。検査の前に、コンタクトレンズのケースを何個か渡していたのですが、その内の一つからアメーバが検出されたとのこと・・・こんなところで増殖していたのかアメーバ・・・安いケースを取り替えず放置してきた結果がこれとは・・・ともあれ目にいるアメーバは確実に減少しており、このまま行けば完治もすぐそこ!結局、症状は数日後には完全に回復したのですが、その後一ヶ月くらいは毎日目薬をさし、ようやく目からアメーバを根絶!なんんとか無事完治しました。今回の件では、色々考えさせられることがあったのですが、一番の教訓は医者も一人の職業人に過ぎないということです。もちろん素人よりは知識豊富ですが、全ての知識を持っている訳ではなく、珍しい病気はすぐには特定できず、一つ一つ丁寧に絞りこむしかないということです。ですので、自分の症状を事細かく丁寧に伝えることが必要だなと感じました。
本日の社会を生き抜く知恵
医者も医療について全ての知識を持っている訳ではなく、病気の原因をすぐに特定できない場合がある。何度か通い一つ一つ丁寧に絞りこむ必要がある。病気を絞り込むためには、自分の症状を細かく伝えることが必要。